思いがけない絶望感
夫の突然の入院
先日、突然に夫が入院することになりました。
夫のいない間に少しでも要らないものを処分したり片付けることができると私は密かに喜んでいました。
ですが…私は思いもよらず絶望感を味わうことになるのです…。
夫が少しの期間でも家に居なくなるなんて極楽じゃないかと思っていた私が何故絶望したのでしょうか。
まずは夫が入院した経緯からお話しします。
25年以上前に私たちがまだ結婚する以前から夫は糖尿病を患っていたのですが、2年前に退職し暴飲暴食の上に運動しない生活が続いたため急速に悪化したのでしょう。
何よりも悪いと思われるのは、退職してから(だと思うのですが)それまで診てもらっていたかかりつけの医者に行っていなかったようなのです。ですから飲むべき薬も飲んでいません。
私と子ども達でひそかに「最近薬を飲んでいるところを見ないね」と話していたのです。
お医者に行かない理由は、「お金がもったいない」「食事や生活習慣の見直しを行くたびに言われるのが嫌になった」と言うあたりでしょうか。
私たち夫婦は会話もない状態ですし詳細は分からないのですが、突然「入院することになったから同意書を書いて欲しい」と夫から用紙を渡されました。
いつから入院で期間はどのくらいか尋ねると、3週間ほど後の予定で、入院の期間は2週間とのこと。
何か症状が急変したのかと聞くと、「医者に行かなかったのが悪いのか1年ほど前から足が痛く最近酷くなったので近くの内科に行ったら入院を勧められた」とのこと。
そんな生活していたら誰でも病気になるわと心の中で思いながら同意書にサインしました。
内心は久々に夫のいない時間ができることで嬉しくて仕方のない気持ちを隠しながら入院日までわくわくして過ごしたのでした。
夫がまだ仕事に出ていた頃は自由な時間もあったのですが退職してから2年あまり、リビングにわずかしかない貴重な空間に夫が朝から晩まで毎日座っているので私がそう思ったとしても罪はないでしょう。
そして入院予定日、私は普段通り夫が起きてくるよりも早くに出勤し「本当に入院したかしら?」と思いながら夕方帰宅すると夫はいませんでした。
「やったー!」嬉しさのあまり思わず叫んで仕事の疲れも吹き飛んでしまいました。
夫婦仲の良い方にはこの気持ちは解っていただけないかもしれませんね。笑
とにかく夫婦仲云々よりも実際に生活に支障が出るほど夫によるためこみ被害を被っていますので本人以外の家族にとって我が家は非常に深刻な状態なのです。
2週間夫が入院している間に片付けられるところは片付けて、捨てても差し支えのないものは夫にバレない程度に捨ててしまおうと私は意気込んでいました。
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私を襲った絶望感
ですが私は思いがけず絶望感を味わいます。
夫が入院してから迎えた土曜日。
いつもの週末なら夫が起き出してくる前に出かけなくてはならない私。
夫がリビングにいるだけで私は息が詰まり気持ちが休まらないのでさっさと散歩や買い物に出かけ続けているのです。
ですが夫が家にいないとなれば話は別です。
私だって本当は休みの日くらい家でゆっくりくつろぎたい!!
けれど悲しいかなくつろげる場所などありませんね。
それにこの貴重な夫不在の時間にくつろいでいる場合ではないのです。
片付けなければ!!
普段夫がいて出来ないことや見ることのできない場所も見てみなければ!!
2週間の夫の入院ですが、平日はどうしても仕事と家事で終わってしまうので週末の休日を有効に使うしかない。
早速私はこの日のために取り寄せた強力なパイプクリーナー剤をあちこちの排水管に流したり、キッチンのあれやこれやもひっくり返して普段夫がいるとできない清掃作業に取り掛かりました。
朝から晩までフル回転で動き回って1日目は終わり、クタクタに疲れましたが充実感はありました。
そして2日目の日曜日、まず取り掛かろうと思ったのはベランダでした。
積み上がったモノの中から捨てられそうなモノを探そうと思ってじっくり見てみました。
たくさんの破れかけた紙袋にいろんなモノがごちゃごちゃと入っています。
積み上げられたプラスティックケースには細かい何かがいっぱい入っています。
このベランダは洗濯物をたくさん干せるように大きめの屋根をつけてもらったのですが、積まれた大量のモノ達は雨ざらしの状態です。
私は夫とこの家に住むまで知りませんでしたが、日光を毎日浴びていると、プラスティックはボロボロになりますし、布などは色が抜けてしまいます。
太陽の力の偉大さを目の当たりにした私は、肌の日焼けも防がなくてはと思ったものです。笑
ですからいずれはベランダに置いているものはダメになってしまうのですし、捨てても良いモノばかりなのです。
けれどためこみ症の夫は空いている空間をそのまま置いておくことはできず、あれやこれやと家中の空いているスペースを埋めるべくモノを積み上げます。
実際に使われることは無いであろうモノばかりなのですが、「これを捨てたらバレるのではないか」とどれを見ても思えてきます。
「あれはどこにいった?」と退院してきた夫から面倒な質問はされたくありません。
ため込まれたモノの量は膨大なのですが夫は驚くほど何があるのか良く覚えていますし私にとっては価値のないものでも夫にとっては宝物なのです。
見れば見るほど「これは捨ててもいいものか?バレないものだろうか?」解らなくなってきます。
そうなるとますますどれも捨てられそうにないと一気に暗い気持ちになってしまいました。
ふと上をみると分厚いポストカード入れが無造作に置いてあります。
私は何がなんでも一つくらいは処分したいとムキになってそれを手に取ったのですが、カラだと思ったそれにはぎっしりポストカードが入っていたのです。
これを1枚1枚夫が集めて入れたものかもしれないと思うとやはり捨てられません。無くなったと問い詰められるのも苦痛です。
ベランダを諦めた私はその次にリビングに目を移しました。
ベランダ同様にいろんなモノが積んであったり紙袋やビニール袋、ポーチや手提げカバンの中に細かなモノがパンパンに入っています。
とにかくどの袋を見てもなんの脈絡もなく燃えるもの燃えないもの、文房具から電気小物、食品や美容小物など雑多なモノがごちゃごちゃ混ざって入っているのです。
考えだすと結局何も捨てられず、私は空のままの大きなゴミ袋を虚しく手に持ち呆然とするばかりでした。
前日の張り切った私とはすっかり別人のように午後には気持ちが暗く沈んでいきました。
この貴重な2週間の間、結局私は何一つ捨てることはできないだろうと思うと虚しさのあまり吐き気がしてきます。
それは思いがけない威力で私を襲った絶望感でした。
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