ため込み症の夫が与えた家族への影響
ため込み症の夫が買ってきた不要なモノで溢れかえった我が家。
2年ほど前に「ためこみ症」という病気がある事を知ってからは 病気なら仕方がないと思える事もありますがストレスになることも多く生活スペースの殆どが失われており、家族の深刻な悩みとなっています。
本人は全く病気の自覚もなく、家族の苦悩にも関心はなくそれどころかモノの多さに自信さえ持っている様です。
困ったり悩んだりしている私たち家族の方がおかしいのだと夫は言います。
溜め込み症である夫本人が困っているならまだ対処の方法があると思うのですが、このように全く自覚がないために今のところ改善の余地がありません…。
この記事では夫のためこみ症について、どうしたらいいのだろうと長年悩んできた事や考えたり感じてきた経緯をお話ししたいと思います。

家族が集うはずのリビングは溜め込み場所になっている
上の写真は 家族4人で暮らしている我が家の現在の様子です。
20年ほど前にそれまですんでいた家がモノで飽和状態だったこともあり3階建ての家に建て替えたのですが、かつての家と同じく生活スペースの大半が夫が集めた不必要なモノで埋まってしまいました。
夫が物を溜め込むために我が家がこのような状態にある事は私や家族にとって深刻な悩みでしたが、今まで数人の友人にしか打ち明けることもできず20数年間悩み続けてきました。
夫の生きているうちは片付けることはできないだろうとうっすら感じながら、万策尽きたような思いで暮らしています。
物が溢れかえって足の踏み場もないような家に友人を招いたりする事はもちろんできませんし、家族で団欒の時間を持ったりする事すら不可能な状態で、ただただ物が散らかって悩んでいるというよりは生活の中で友人や家族などの大切な人とのやりとり自体が奪われていることも深い悩みです。
そんな重度のためこみ症の夫は、昨年突然に予定より早く退職し毎日家で過ごしています。
連絡を取り合う様な親しい友人もおらず夫側の親族とも連絡をとっていないようで、何より一緒に住む妻の私や子どもたちとも会話がなく温かいやりとりがありません。
『私なら気が狂ってしまうであろう孤独な生活』を過ごしている夫を密かに心配するのですが、どうやら本人はあまり気にしていない様です。
ため込み症の夫の持つ人間関係は希薄でそのためにモノに執着するのかもしれないと私は感じる事があります。
その夫は昨年退職。私は介護の仕事でフルタイム勤務をしています。長男は独立し次男は大学生、三男はこの春から社会人として働き始めました。
物が溢れる家でため込み症の夫とは気持ちが折り合わず悩みも多かったのですが、3人の子ども達のおかげで私はなんとかやってこられたのだと思います。
ため込み症の夫と結婚してからの苦悩の日々
結婚当初からモノに埋もれた生活
私たち夫婦は 25年前に結婚しました。主人は2度目の結婚で前妻との子があり、前妻はすでに亡くなっていて私との面識はありません。
結婚後に二人の男の子ができ、私は3人の子を持つ母となりました。
結婚当初に私たち夫婦が住んでいた家は、夫が前妻と結婚した時から暮らしていた家でした。
前妻が去ってから10年以上夫一人で生活していたその家は私と出会った頃にはすでにモノであふれかえっていました。
ですが私は何の疑問も持たず、「男の人が一人暮らしをしていたのだから散らかっていても仕方ない、私が徐々に片付ければいい」と簡単に考えていました。
ため込み症という病気があることは当時は知りませんでしたし一時的なものだと思ったのです。
夫は次々と物をため込み続ける…妻の片付かない悩みと焦り
家いっぱいに溜め込んだサイズが合わなくなった服やカバン、雑誌、その他細かいモノ。どうみても使わないであろうモノも夫はなかなか手放してくれません。
「なぜ 捨てられないんだろう」
「なぜ 片付かないんだろう」
その頃は「ゴミ屋敷」や、「ためこみ症」などの情報も無く、ただただ片付かないことに不気味さを感じながら毎日困り果てていました。
結婚から1年が経ち、家の状態が全く改善されないことに不安と焦りを感じ始めた頃 次男が生まれました。
どんどん増えていくため込み症夫の物
子どもが生まれてからも、モノはどんどん増えていきました。仕事が休みの度に知らぬ間に出かけていき不要なモノを買って帰る夫。
使えるモノなら良いのですがそのほとんどが実際には使えないモノ、つまり普通の人たちが処分してしまうようなものばかりです。
もちろん幼い子ども達の世話などは全くしませんし、前妻との息子も私に任せきりです。
オレは子ども好きと結婚前は言っていた夫ですが、実際一緒に住んでみると子どもには全く関心がありませんでした。
夫は自分が関わらなくて手を煩わされる事のない、他人の子どもは好きなのかもしれませんが自分の子どもは手もかかり面倒も多いので嫌なのでしょう。そんな夫が自ら自分の子どものそばに行き、関わる姿を全くと言って良いほど見る事はありませんでした。
物が多い事や、子育てに悩む私の気持ちを察してくれる事も全くありませんでした。
今思えばため込み症の夫は自分以外の人、特に感情面には興味が薄く、自分の子どもや妻である私にも関心がなかったのでしょう。
私が思いや悩みを必死で訴えてもまるで気にする様子もありませんでした。
物が溢れかえっている我が家で、私ひとりで子育てするのは大変でいつも限界ギリギリの精神状態でした。
子どもが何でも口に入れてしまう時期は、細かいモノがないスペースを確保するのに必死で、朝から夕方まで公園で過ごしたり、雨の日などはショッピングセンターで過ごしました。
私はいつも自分と子どもたちの居場所を探す事に必死でした。
片付けに関して喧嘩も多くしましたが、「モノがたくさんあって何が困るのだ」と私の気持ちを理解しようともせず、自分の部屋にこもってしまうのです。
普段は口数も少なく大人しい夫ですが、片付けの話になると驚くほどの剣幕で怒る事もあり、溜め込んだモノへの執着をみせるのです。
この古い間取りの家を建て替えれば、余分なモノを捨てこの状況が改善するのではないかと私はひそかに考え始めました。
タイミングを見計らって考えつくいろいろな理由をつけ、私も働くからという条件で家の建て替えを夫に提案し、承諾してもらったのです。
溜め込んだ夫の物を2トントラック2台分が仮住まいへ移動

ため込み症の夫はベランダの空間も物で埋めてしまう
家を建て替えればモノの溢れる生活とはサヨナラだと思っていた私の考えは大間違いでした。
まず、仮住まいの家に「荷物をもっていく」と言い張りそのため大きな家を借りなくてはなりませんでした。
恐ろしいほどの大量のモノが古い家とともに廃棄されましたが、それでも2トントラック2台の物はダンボールに入れられ仮住まいへと移動し、そしてそのまま新築の家に戻されました。
その段ボール箱が新居に積み上げられた時、この先私たちの暮らしはどうなるのだろうと不気味な不安がよぎりました。
守られることのなかった新居でのためこみ症の夫との約束
もちろん私もその頃には夫のモノに対しての異常な執着に気付いていましたから最初が肝心だと思い話し合いを持ちました。
その結果、夫は1階の地下室付きの一番広い部屋を自分の部屋に選びその部屋以外にはモノは置かないと約束しました。
ですがそんな約束はどこへやら、夫の部屋はすぐに一杯になってしまいました。
ちなみにこの部屋には、狭いですが地下室もあるのです。そこにまず、段ボールが詰め込まれ、次にこの夫の部屋がモノで埋まりました。
私が地下室に降りたのは、入居してから1度だけです。
今となっては地下室の入り口にも辿り着くことが出来ないので、中がどんな状態になっているのかわかりません。

溜め込み症の夫の部屋の様子
空間を物で埋めようとするため込み症の夫との静かな闘い
新築になってから数年の間は私の友人を招いてまだ綺麗だったリビングで食事会をしたり、小さかった子どもたちのお友達親子を招いたりしましたが、それなりに片付けるのに一生懸命でした。
なにせ夫は物を次々に買ってきて積み上げていくのです。
スッキリと片付いた友人のお宅を見せようと夫と一緒にお邪魔したこともありますが「片付いている」という状況に全く関心がない様子でした。
他人に関心も薄いですし、他人の家の状態などにも関心がないのでしょう。あえて私が綺麗な友人宅に一緒に行った意図にも夫は全く気が付かないのでした。
空間があれば埋めようとする夫と、少しでもスッキリさせようとする私の静かな戦いが続きました。
改善策は無く徐々に家が大量の物で埋まった
まず入居時点で 夫の部屋に続いている地下室は段ボールで埋まり、3年後にはその夫の部屋が、次に3階寝室、リビングの順に埋まっていった様に思います。
次男が4年生になる頃から私は本格的に働き始め、片付けるための時間も体力も無くなってきました。
たくさん考え悩み、話し合いの機会を作り、いろいろな方法で夫に歩み寄ろうと努力しましたが、結果は何も得られませんでした。
徐々に私は時間と体力だけではなく、片付ける気力を失ってしまいました。
溜め込んだものは大量に増え、夫婦の会話はなくなった
会話のない夫婦
もともと夫は口数は少ないので 私が話す方だったのですが 今では私も話す気になれず会話することがなくなってしまいました。挨拶すら交わさない日がほとんどです。
友人もなく自分の親族と関わることもなく、妻である私とも会話もなく子どもたちも寄り付かない状況の中、毎日毎日同じ表情でテレビの前で過ごしています。
座っている座椅子の周りはモノで埋まっており、モノに埋まってさえいれば彼は安心を得られている様に思います。
元々口数の多い方ではない夫でしたが、妻である私が積極的に話しかけることである程度の会話量はありました。
ですが夫と何かを共感するという場面は少なく、一応は私の話を聞きはするものの夫は上の空で、途中で話の腰を折ったりこちらの感情を無視したような返答があったりする中で徐々に夫にかける言葉も減っていったのです。

日中ため込み症の夫が過ごす座椅子の周りには物が積み上げられている。
物を溜め込むことと生きることが同義である「ためこみ症」の夫
結婚当初は「私が片付ければいい話だ」と楽観的に考えていましたが、徐々に夫の異常性に気づき、「買い物依存症」なのかもしれないと何年もの間思っていました。
しかし2年ほど前に「溜め込み症」の記事をネットで見つけ、夫の行動と我が家の状態がぴったり当てはまるので衝撃を受けました。
そんな病気があるのかと謎が解けてほっとした様な、未来を考える時に漠然とした不安が胸に広がっていったのを覚えています。
私だけでも精神科や心療内科に相談に出向こうかとも考えましたが、もう疲れてしまってその事に自分の時間や心労を費やするのが嫌になりました。
仮に私が夫の代わりに受診したとしても夫が物を溜め込む行動をやめることはないだろうと私は判断したのです。
夫は「自分が標準、まともな人間」だと確信していて、有効な治療方があったとしても受けることは難しいと思われます。
ためこみ症のことを知ってからも、病気のことを踏まえて夫に歩み寄り妥協点を探そうと何度も何度も試みましたが、残念なことに何も変わることはありませんでした。
私は精神的に病んでしまう経験もしましたが、苦しんだ挙句に私の内面もだんだんと変化していきました。
夫が変わることは無いのだから私が割り切ってこの家で生きていくか、それとも別の選択をしていくのか?とにかく私は強くならねばなりませんでした。
全く家族に歩み寄る気が無い夫と共に暮らしていくのならその覚悟が必要です。
否、それとも私は私で別の人生を歩むべきか?
「ゴミ屋敷」がメディアなどで取り上げられ目にする機会が時々ありますが、私が気になるのはその主の方とご家族はそれでも一緒に住まわれているだろうかということです。
勝手な予想をすると、我が家の場合と同然にきっとため込み症であるゴミ屋敷の主の方は家族の悩みなど気にもとめないだろうと思うのです。
そのご家族さんたちは、私や息子たちのように大量に集められた物を見ながら暮らし日々複雑な思いをしているのでしょうか?それともその生活から抜け出すために出ていく決断をされたのでしょうか?
夫にとって生きる事とモノをためこむ事が同義であり、辞めさせる事はもはや不可能かと思います。重度のため込み症の方はきっと他の方も同じではないかなと思います。
もっと夫が若く、ため込みの具合が軽度の頃なら、もしかしたら何らかの治療で改善出来たのかもしれません。
今は我が家の部屋のどこもかもがいっぱいになり、写真のようにベランダにいろんなモノを置き出しました。半分ほどが埋まったでしょうか。
夫の溜め込み行動は一向に治る気配がありませんが、私たち家族はいろいろと悩み、苦しみながらも今まで耐えてきたのです。この環境の中でよく気が狂わなかったと自分でも思います。
そんな私の人生も折り返し地点を過ぎ、子育ても終わろうとしています。
いつか片付けができる日を夢見つつ、夫を観察し「ためこみ症」の謎を自分なりに解釈していくつもりです。
コメント
Nice share!
はじめまして、本日初めてこちらのサイトへお伺いしました。私の夫も「ためこみ症」です。家以外に給料半分の部屋を借りそこに荷物を入れて毎月浪費をし続けています。その事を指摘し、本人に現実を直視してもらおうとしますが、全く話を聞きません。その上その事実を隠蔽しようとするかのように誰にも見せません。部屋も人が住める状態でもありません。現在は別居して同じ仕事をしていますが(幸いにもそのような仕事に就いています)この仕事で老後資金をためて暮らしていけるようになりたいと思っていますが、その将来設計も何もかもダメですでに20年が過ぎ一回離婚もしていますが、私が重い病気になった折に手を差し伸べてくれて、また一緒に暮らしています(籍は未入居)
今回とても参考になったのはこの病の根幹に本人は幸せ周囲が不幸せという問題があることでした。私の夫はクリプト(盗癖)が発動し、2度警察の世話にもなっています。(万引き)CDを異常なほど収集しており、それについて何十年も言ってますが売ろうとしません。片付けもしませんが私が触れるのは嫌なようです。家族としてその問題さえなければ幸せですが、このままでは老後に暮らすお金が尽きてしまいそうです。どうすればいいのかも誰に相談すればいいのかもわからず本日こちらのサイトを拝見できて本当に良かった。でもまだこの後どうしていくのかについては何もわかりません。私ももういい年ですので、この後どうやって行けばいいのか分からないですが、改善の一途を目指すしかないかなと思いました。
DDさん はじめまして こんにちは。
コメント拝見させていただきました。DDさんは離婚も経ながらためこみ症のご主人と一緒に暮らされているとのことで、その過程でのお辛さや今現在の難しさを我が身に重ねてひしひしと感じています。記事にはまだ書いていないのですが我が夫も万引きをして2年ほど前に警察に私が頭を下げるということがありました。夫は口では反省の言葉を述べましたが本心からの言葉かは疑問です。ためこみ症と関係があるかは分かりませんがその辺りの罪悪感の無さというのも気になるところです。DDさんがご病気の際にご主人はは助けてくださる優しい面もお持ちなのですね。それゆえにためこみに執着されることが余計に辛く感じるかもしれませんね。これさえなければ…と。私は専門家でもなんでもないのであくまで私の感じたことや推測から記事を書いているのですが、ためこみ症に限らず本人に自覚がなく周りを不幸にしているパターンは改善が本当に難しいと感じています。本人に意地悪な気持ちや罪悪感、困るという認識があればそこにテコを入れることができますが、本人にその感覚がないですしそれらを言葉で伝えることも困難です。ではどうしたら良いのか…。私は離婚を考える機会を得ましたがそれすらも踏ん切りがつかず今に至ります。私の場合は夫は変わることはないだろうと思うので後は私がどう変わっていくか、どうしたら自分がこれでよかったのだと思えるのか模索するしかないと考えています。DDさんのご主人は優しい面もお持ちですし、そのあたりから何か策があればいいなと感じました。試行錯誤されながら少しでも状況が良くなられますよう心から願っています。相談できる相手がなかなかいないというのが私を含めコメントをくださる方の大半の悩みでもあります。お互い頑張っていきましょうね。