離婚後の我が家〜その2ヶ月後
離婚して2ヶ月が過ぎようとしています。
年金分割の手続きが残っていましたので先日元夫と二人で年金事務所に赴きました。
その際、久々に私は我が家にお邪魔してきたのですが…。意外な速さで家中の様子は変化していました。
今回はそんな離婚後、最新の我が家の様子について書きたいと思います。
増え続けるモノ
年金事務所に赴く前に、諸々の書類に元夫に記入して頂く必要があったので、久々に我が家(元我が家?)にお邪魔しました。
ガレージはまだ私がいた頃のままモノは増えていない様で、少しほっとしながら車を停めて玄関に入りました。
玄関入り口のすぐ横にかつて私が書斎にしていた納戸を見て私はハッと足を止めました。そこは既に夫のモノがたくさん置かれている状態でした。
2ヶ月前に家を出た日にはほとんど何も残していなかったのですが…。
「こんな調子だと2階のリビングは大変なことになっているのではないだろうか」と嫌な予感がしつつ夫が居る2階のリビングに向かいました。
以前と変わらない様子で夫は中央の座椅子に座っていましたが、明らかに部屋全体にモノが増えています。モノのカサが増えたことで部屋の中は一層薄暗さを増しています。
床面は私がいた時から隙間なくモノが散らばっていましたが、顕著に変化したのは「縦の面」でした。壁にフックを取り付け今まで手を出してこなかった部分にまで色々なモノがぶら下がったり貼り付けられたりしていたのです。
予想はしていたものの2ヶ月でこんなに増えるとは。きっと私がいなくなった事で夫は自由にモノを増やし続けたのでしょう。
「ためこみ症」という病気の不気味さを改めてひしひしと感じながら私は久しぶりのリビングを見渡し夫に気づかれない様に密かにため息をつきました。
家庭が崩壊したとしても
元夫は以前と変わらない様子で元気そうです。
少しばかり世間話をしながら元夫は必要な諸々の書類を書いてくれました。離婚話の時にはしょんぼりしていましたが今はすっかり話していても元通りの口調で夫の気持ちも一段楽ついたのだとホッとしました。
夫が書類を書いている間、私は冬物の服をどこかに忘れたという口実で3階の寝室まで行ってみたのですが…。
…何という事でしょう。夫は自分が寝ていた万年床はそのままに、元々私が寝ていた押し入れの場所で寝ているようです。
そして彼の万年床の上には早くもたくさんの新たなモノが置かれつつありました。
私が引っ越す際に空にして行ったクローゼットや、箪笥の引き出しも次々に開けてみましたが所狭しと色々なモノが既に詰め込まれていたのです。
何気なく2階に降りて食器棚もちらっと見ましたが食器も明らかに増え、詰め込まれている状態でした。
その横の冷蔵庫の中も見たかったのですが、さすがにそれは家を出た身としてはできませんでした。きっと期限の切れたものや腐ったものがたくさん入っているに違いありません。
階段に埃がたまりあまりにも汚かったので私は思わず階段だけ拭き掃除を始めました。
何といってもこの3階にはまだ三男が生活しているのですから。
その日は出勤していなかったのですがきっと何も言わずに自分の部屋での生活を護っているのでしょう。
ですがいろいろ気を揉んでみても…もう私はこの家の人間ではないのです。
夫にとやかく言う必要はないですしその資格もないのだと自分に言い聞かせながら、この階段にも時間の問題でモノが積まれるだろうと、踏み板の1枚1枚を拭いていきました。
さすがに冷蔵庫を開けてみるわけにはいかなかったのですが、おそらく賞味期限切れの腐ったモノが処分されずにそのままにされているに違いありません。
夫がいるために写真に収める事ができませんでしたが、それは私が予想していた以上に速いスピードでためこみが進んだ状態でした。
離婚の話し合いの際には私が思い切ってモノが多すぎてこれ以上生活できないと伝えたところ「片付けないといけないなあ」という反応をした元夫でしたが、いえいえそんなに簡単には変われないのでしょう。
何度もこれまでに感じてきましたが、これはやはり病気なのです。
妻が出て行ったとしても、家庭が崩壊したとしても、ためこむ本人はその行為をやめる事が困難なのです。
寂しさを埋める作業
元夫が書類を書き終えた後、車に乗り近くの年金事務所に二人で出向きました。
手続きの最中で夫がやや渋る場面もありましたが概ねスムーズに事は運びました。
夫が現在もらっている年金はかなりの額が減る様ですが、お金への執着も強い彼はしっかり溜め込んでいるはずなのです。
ですが夫には不安で仕方がない様です。経済的な点に関しては私の方が不安に感じるべきなのですが…。
離婚はお互いにとって『損』でしかないのだと帰りの車の中でも何度も口にする元夫に、そういう問題ではないのだと私は力なく答えていました。
今は私と年金分割の取り決めをしたことでいくらの年金が減るのかということにしか気持ちがいかない様でした。
我が家に元夫を送り届け、「ではまた。元気でね。」とお互いに声を掛け合い別れました。
元夫を憎む気持ちは微塵もありませんし、むしろ哀れに感じたほどです。
元夫を降ろして自分の家に向かう道中で、三男に生活は大丈夫なのか、何か困ってはいないか確認しなければと私は考えていました。
きっと年金が減るという不安からまたさらに元夫は空間を埋めようとするに違いありません。
急激にモノを増やしたのも、私が荷物とともに出たことで空間ができたこともありますが、やはりずっと一緒にいると思っていた妻が出て行った寂しさも大きな要因になっているでしょう。
そこに本人の自覚はありません。空間を埋める作業は彼にとっては自覚のない寂しさや不足感を埋めることだと思うのです。
私はもはやこの家の人間ではないとしても、「ためこみ症」という病気にはこの先も考えさせられることでしょう。
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