いくつになっても「かわいい」人っていますよね。
若い頃から私は「歳を重ねてもあの人みたいに可愛い人になりたいな」という先輩が身近にいたら、真似するように心がけています。
もちろん容姿のこともありますが私がマネしたいのは内面のかわいらしさです。
中でも私が30代半ばの時に職場で出会った、当時65歳のMさんはとくに印象深い方でした。20年近く経った今でもその方の可愛らしさを時々思い出すことがあるのです。
Mさんは私のいた部署で新しいメンバーとして入られ、初めから気負ったところのない方という印象でした。
誰でも新しい職場に入ってすぐの頃は、場所や仲間に馴染むまでやや緊張すると思うのですが、Mさんは初日からまるでそんな様子もなく、スッと皆んなの会話にも自然に入ってくる感じでした。
誰かが冗談を言えば遠慮なく笑い、意見を求められればはっきりと自分の意見が言えるのです。新米だからといって遠慮している様子はありません。
かといって図々しいイメージもなく、なんというか…初めから自然にみんなに溶け込んでいるのです。
Mさんの一番好きだったところはよく笑うことでした。笑いのツボが私と似ていたのか、たわいもない事で二人でいつまでもケラケラ笑っていました。
楽しいことや面白いことがあると、一緒に笑いたくて真っ先にMさんに話しに行ったことを懐かしく思います。
メンバーの中で一番若かった私に合わせてくれたのかもしれませんが、それも優しさですよね。
年長者にありがちな「これはこうしなければいけない」とか、「これまで私はこうして来た」というような凝り固まった考え方ではなく、柔軟に周りの意見に耳を傾け、新しい考え方を受け入れ、それでいて自分の意見も持っているMさんでした。
もちろん、今時の若い子は…なんてことも決して言いませんでした。
人の陰口なども言いません。女性の多い職場だったので誰かが誰かの陰口などを言っている現場に居合わせることも良くありました。私はその場を離れるか聞こえないふりをしていましたがMさんも同じでした。
そんなMさんも交えて一度だけ休みの日に出かけたことがあったのですが、Mさんが真っ白のフリル付きワンピースという、まるで少女の様な装いで来られたのです。
初めは驚きましたが、年相応にシワやシミのできているMさんのお顔に、その白いワンピースはぴったり似合っているように思えてきました。
この服が着たい、と素直に選んだお洋服なのでしょう。
自分の気持ちに素直に、人と自分を比べたりせず、愛嬌があってよく笑い、さり気なく周りを気遣えるMさん。
少女の頃から変わらないのだろうなと思わせるような純粋な可愛らしさを持ち合わせている、とでもいいましょうか。
今はもう会うこともないのですが、きっとどこかで可愛らしいまま歳を重ねて過ごされていると思います。
あの頃のMさんの年齢に近づきつつある私。
まだまだ続く人生、素敵な先輩を見つけながら、私らしく歳を重ねていけたらいいなと思っています。

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