ためこみ症

キッチンの椅子が私の居場所|ためこみ症の夫

ためこみ症の夫と住む家はモノで溢れかえっていてキッチンの椅子だけが私の居場所になっています。 ためこみ症
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キッチンに置かれた椅子

夫がためこんだ不要なモノで埋め尽くされる我が家の中で私の居場所はたったひとつしかありませんでした。

それはキッチンに置かれた椅子です。

子どもたちには狭いながらも部屋がありますが私の部屋はありません。

長い月日を経てようやく私は待ち望んだもうひとつの居場所を得たのです。

そこで私はこの記事を書いているのですがこの場所がなかったら私は気が狂うか再びうつ状態になっていたでしょう。

この場所を得るのは簡単ではありませんでした。この記事ではその経緯をお話しします。

キッチンの椅子だけが私の居場所だった

キッチンにはたったひとつの私の居場所である椅子が置かれる

私の場所はキッチンの椅子しかなかった

踏み台にもなるこの椅子は この家を建てて入居した時に購入しキッチンに置かれました。

その頃はここが我が家の中で、たったひとつの私の居場所になるなんて思いもしませんでした。

私ここで料理の合間に座ったり、音楽を聴き、考え事をし、本を読み、手紙を書きました。

今でも食事はここで膝の上に乗せて食べています。

なぜならリビングルームは夫の集めた不要なモノで埋まっていて座る場所もないからです。

止まない夫のためこみ

夫のためこみは昔も今も止まる事がありません。

それは夫にとっては自然な行動なのです。

ためこむ事に対して私はこれまで何もして来なかったわけではありません。

友人の家に夫も一緒にお邪魔して、さりげなく他のお宅の中がどんな感じで片付いているのかを見てもらったことも何度もあります。

ですが夫はすっきりと片付いた部屋には全く関心がありませんでした。「片付いている」ということに気づいていないと言った方が良いでしょうか。

片付けて欲しいと言葉で伝えたり、文字にした方が伝わるのかもしれないと手紙を書いてみたり、怒ったり泣きついてみたり…私は思いつく限り夫に働きかけましたが全く効果はありませんでした。

夫は相手の感情が読み取る事が苦手ですし、私の辛い気持ちなど分かろうとも思っていません。

こっそりゴミ処理場へたくさんのモノを捨てに行くこともしばしばでした。

しかしすぐに空いたスペースの分だけ間もなく不要なモノが補充されてしまいます。

改善策はありませんでした。

そして3年前の夏、今まで耐えに耐えてきたのですが私は初めて実際に片付けを強行しました。

ガレージにも積み上げる不要なモノ

3年前(2018年)の夏でした。その頃私はフルタイムではなくパートで働いていて夫もまだ仕事に行っていた頃です。

家の前が車庫なのですが、不要なモノが詰まった段ボールとモノが積み上げられていました。

ダンボールの殆どが20年ほど前に仮住まいから引っ越してきた時に夫がどうしても捨てずに持ち続けているモノでした。

箱の数で言うと20はあったでしょうか。中身も何が入っているのかわかりません。箱だけではありません。さまざまなモノもその上に積み上げられまさに「ゴミの山」となっていました。

写真に収めていないのが悔やまれますが、それは通りかかる人が見ていくほどの状態でした。

家の前がひどい状態である事がたまらなく嫌で、私は自宅の場所をなるべく人に知られない様にしていました。

みっともないし、実際に放火されるリスクもあります。

何とかしたいとずっと思っていました。

近所からの匿名の手紙

ご近所から匿名でポストにお手紙が入っていたことがありました。

夫が読んですぐに破って捨ててしまい、私は読んでいないのですが、我が家の車庫のモノを片付けて欲しいという内容だった様です。

モノがだんだん増え始め、2台ある車が荷物のために歩道に少しはみ出る形になっていたのです。

夫は匿名の手紙は全く気にしませんでした。

私が「恥ずかしいから片付けて」と訴えても、お前は人の目を気にしすぎだし、誰にも迷惑をかけていないと夫はまるで聞き入れてくれませんでした。

何とかしたいという思いはますます強くなり、私は策を練りました。

ついに車庫を片付ける

夫は普段は大人しい方ですがモノを処分する話になると人が変わってしまうので、私は良いタイミングがやってくるのをずっと待ちました。

いつからか冬になるとダンボールなどの荷物の間に野良猫が寒さをしのぎにくるようになっていたのですがある日私は「そうだ、ネコの事をきっかけに話してみよう。」と思いつきました。

段ボールの上に衣類やカバンなどがむきだしで積まれていたので暖かかったのでしょう。積んである荷物は猫の毛と、埃や砂にまみれてとても汚れていたのです。

プラスチックの衣装ケースもたくさんあり、劣化し、少し触れるとボロボロと割れて崩れてしまう状態でした。

これをオーバーに報告して片付けさせてもらおうと決めて私は夫の機嫌の良い時を慎重に見計らい、切り出しました。

夫はしぶしぶ、いくつかのモノ以外は捨てていいと言いました。

ダメ元でお願いしてみたのですが「猫のおしっこやうんち」に助けられました。笑

小躍りしたい気分を顔に出さない様にし、夫の気が変わらないうちにと早速次の日から車庫の片付けに取り掛かりました。

1トン近くのモノを処分

パートの仕事が終わってから急いで家に帰り車庫を片付ける日が約2ヶ月は続いたと思います。

夏だったので汗だくになったこと、怪我をしないように靴をはいて荷物の山の上に登り、上から燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクルに出すゴミに分けていきました。

それは思ったよりも大変な作業であり、使えそうなものはほとんどありませんでした。

液体の入ったボトルは日光で劣化していて持つと手の中で崩れて割れてしまいます。

荷物の山の中に埋まっていた古い古いブラウン管のテレビは、ゴミ処理場に持ち込んだものの断られてしまいました。その処分に電気屋に走り、確か5千円程の処理金を支払いました。

いいことは何一つありません。それでもやるしかありません。

一番大変だったのはダンボールは箱ごとにいろんな虫がわいていて、一つには大きな蜂が巣を作っていたことでした。

私はすぐにホームセンターに走り、蜂用の殺虫スプレーを買いました。

レインスーツにバイクのヘルメットをかぶり、段ボールに大きなゴミ袋をかぶせてからその中にスプレーを噴霧という作戦をたてて実行しました。

イメージしてから作業したのですが、私が箱に袋をかけている間にも2、3匹の蜂が警戒して箱からとんで出てきました。

これ以上モタモタすると他の蜂がみんな出てきてしまうと私は一気にスプレーを袋の中に吹きかけました。

それはそれは恐ろしい経験でした。

皆さん、蜂はやはり業者に頼まなければいけません。

一人で暑い中レインコートとヘルメットを被り車庫でスプレー缶を振り回す私を見て通りがかりの人はきっと真夏に何をしているのだろうと不審に思ったでしょう。

幸い刺されずにすんだのですがそれらの作業は大変な労力と時間を要するものでした。

ゴミ処理場では運び込んだゴミの重さで料金を払うのですが、総量およそ1トン近くのゴミが車庫から処分されました。

そして費用も無視できません。

この家全体の不要なモノは少なくともこの100倍、いえ、もっとあるだろうと推測します。

私は初めて具体的にどれだけ大変な作業がこの先に待っているのかと考え愕然としました。

それから3年が経ち、夫はまた少しづつ奥にモノを置いていますが…。

どうしても『ゼロ』な状態にはできない夫なのでした。

初めて片付けを強行した車庫に徐々に置かれた不要な夫のモノ

片付けた車庫に少しずつまたモノが置かれている

念願の私のスペース

車庫が片付いて「これはもっといけるかも」と、私は勢いこみました。

1階玄関横にある2畳ほどの納戸も、片付けて良いか尋ねることにしました。

私の辛さをよく理解してくれているのは次男でした。「あの納戸を片付けたらお母さんの場所になるのではないか」と後押ししてくれたのです。

納戸は車庫と違って外ではありませんからまだマシですが床から天井まで使えそうもないモノがぎっしり積み込まれていたのです。

車庫の時と同じ様にタイミングを見計らい、カビの生えたバッグや劣化したモノをオーバーに報告し、片付ける了承をもらいました。

私はキッチンの椅子以外に自分のスペースが狭くてもいいから欲しかったのです。

お父さんの気が変わらないうちに早く片付けた方が良いと次男も協力してくれ、1ヶ月近くかかりましたが納戸を片付けました。

それもまた大変な作業でした。

ですが20年もの間キッチンの椅子に座るしかなかった私はついに待望の居場所を得ることができたのです。

まだ夫のものが棚に残っていますが良しとしましょう。

やっとできた私の空間

苦労して片付けた納戸は私の待望の居場所になった

苦労して片付けた納戸は待望の私の居場所です

物置が目的の部屋ですからクーラーも暖房もありません。

それでもここはやっとできた私の空間です。モノで埋め尽くされた部屋を目にすることもありませんし、くつろいだ気持ちにもなれます。

この心地よく狭い場所で、私は音楽を聴き、パソコンに向かい、本を読み、絵も描きます。

ごろっと横になる広さはないのですが、十分に落ち着けます。

この居場所を得てまもなく夫は突然定年より1年早く仕事を辞めて家にこもるようになりました。

ぎりぎりセーフで私は自分の居場所を得ました。

夫が毎日家に居たなら毎日のようにゴミ処理場へモノを運ぶことはできなかったでしょうから。

そしてキッチンの椅子に座るしかなく、毎日リビングにいる夫を目にしながらストレスが溜まっていたことでしょう。

「私の居場所がある」と思うだけでも安心できます。

たとえそこが納戸であっても。

私が得たのは心の居場所です。

もし、私と同じように悩んでいらっしゃる方がいるなら、どうにか工夫されて何とかご自分のスペースを得られる事ができるよう願います。



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