ため込み症の夫の突然の退職と妻の苦悩
ある日いつも通りに出勤した夫が,突然に仕事を辞めてきました。
溜め込み症の夫は私よりもひと回り以上歳上なので、いずれは私がまだ働いているうちに彼が定年を迎えることは覚悟していました。
ですがそれは予定より1年早く、しかも突然にやってきました。
いつも通りにきっちり同じ時間に帰宅した夫は、大量の物に埋まるリビングのテーブルで夕飯を摂っていました。
私たち夫婦は会話もないですから、お互いに黙っています。
夕食を出し終えてホッとしながらふと見ると、花かごが積み上げられた物の間に置かれているのが目に入りました。
何だろう?と思って近づいてよく見ると『お疲れ様でした』と書いたカードが添えられているではないですか!!
とっても嫌な予感がします。
「何これ?」驚いて夫に尋ねると「見たら解るだろう?今日仕事辞めてきた。」と言うのです。
ガーン!!!!
ショックを受けながらも私は平静を装いながら家事を続けました。「今までありがとう。お疲れ様でした。」というような温かい言葉もかける事ができませんでした。
ということは、明日から夫が毎日毎日家にいるのか…。
その上、自由に買い物に出かけるでしょうから、さらに物が増えるのは明白です。
そして夫が出勤している間に、こっそり物を捨てに行く作業が全くできなくなるのです。
あまりものショックさに私は吐き気がしてきました。
夫は45歳の頃から何度か転職してきましたが、事前に私に相談があったことは1度もなかったので、心のどこかで夫の突然の退職に備えてもいました。
それにしても突然過ぎます。
定年までのあと一年は、昼間はゆっくりできると思っていたのに。
仲の良いご夫婦なら「どこかに旅行でも行こうか」となるのかもしれませんが、私たちの夫婦仲は破綻しています。
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リビングに1日中いるため込み症の夫
趣味も友人もない夫
もともと休みの日はフリーマーケットやリサイクルショップに行く以外、家でテレビを見ている人でした。
一緒に遊びに出る様な友人は一人もおらず、何か趣味があるわけでもありません。
おまけにちょうど新型コロナウイルスのための外出自粛が始まり、自然にテレビの前に1日中居る様になりました。
せめて家族との間だけでも会話があればまた違うと思いますが、それすらもありません。
あんな寂しい生活は無いと思えるくらいに独りぼっちなのですが、夫は平気な様子です。
貴重な空きスペースに夫が朝から晩まで居座っているのですから、私たち家族はますます居場所がなくなってしまいました。

友人もなく趣味もなく夫はここで1日中テレビを見て過ごしている
冷蔵庫の中もため込んでしまう夫
毎日の中で最近一番気になっているのは、夫が冷蔵庫の中にも食べ物をため込んでしまう事です。
退職前は休みの日に「冷蔵庫に何か入れているな」くらいでしたが、今はまさに部屋と同じで冷蔵庫の中の空いているスペースを埋めるように物を詰め込んでいます。
仕事で私が朝から夜までいないので余計にそうなるのでしょう。
座っている座椅子の周りにもお菓子や缶詰などをためこんでいます。
消費期限が切れているものも多く、匂いが出そうなものや、汁が出そうなものはこっそり処分しますが、空いたスペースの分だけ、また別のものを買ってきて詰め込んでいます。
どうせ毎日買い物に出るのですから、その日の分だけ入れてくれたら良いのですが冷凍庫にも、自分用のアイスクリームや冷凍のフルーツ、冷凍食品をたくさん入れています。
夫は糖尿病なのですが、食べない方が良いものをわざわざ選んでいるのかと思う品揃えです。
仕事帰りに買い物してきても冷蔵庫の空きスペースがないと困りますし、詰め込んでいると結局賞味期限を見落としてしまうので「いっぱいにされると困る」と何度か伝えましたが夫には通じません。
空いていると思わせるスペースを作らないよう常に気をつけていますが、毎日の事なので困っています。
ため込み症の夫との未来と私の苦悩
夫は自分から「〇〇しようか」などの行動はしない方です。
家事や育児に関しては、自分からすすんでするということは全くありません。
「これをすれば助かるだろうな」という想像力が夫にはないですから、その都度私がお願いし、簡単なことを手伝ってもらったこともありました。
今でもお願いすればやってくれるかもしれませんが、もう私は全て面倒になりました。さっさと自分でやったほうがストレスになりません。
きっと会社でも指示がなければ何もしなかったでしょうし、夫なりに辛いこともたくさんあって、予定より1年早くに退職したのでしょう。(周りの方も大変だったのかもしれません)
お互いに思いやりのある夫婦だったら、全く違う生活を楽しめただろうにと思います。
私にも反省すべき点がたくさんあると思うのですが、もう修復できないほどに夫婦関係は破綻しています。
1日中何もせず、フルタイムで働く私の家事を手伝うことなど頭にもない夫を見ると、悲しい気持ちになってしまいます。
私がもっと早い段階で夫にうまくお願いする事ができたら違っていたのでしょうか?
深刻なことは、私が夫に話しかける努力をやめた時…私たちは会話の全くない夫婦になっていくのだろうと感じていることです。
溜め込む物がお金のかからない「ゴミ」に変化してきた
ため込み症の夫は退職してから、ため込むモノが少しづつ変わってきました。
異様に多いのはパンフレットや紙袋などのタダで集められるモノです。
次の写真は、リビングのテレビの裏の様子です。
前から紙袋が少し置かれていたのですが、最近ではこの様に紙袋やパンフレット等の紙類ばかりが詰め込まれる様になりました。

テレビの後ろにはたくさんの紙袋など、お金がかからないモノに変化した。
その上、お菓子を食べた後の袋などゴミも捨てられないようで、増えてきてるのが気になります。
カバンや服ももちろん困りますが、このままゴミが増えてくると文字通りゴミ屋敷になってしまいます。
空間が埋まりさえすれば、服でもカバンでもゴミでも良いのかもしれません。
ゴミが増えるのは阻止しなければとひそかに観察しています。
これからのため込み症の夫との生活は?

私らしく暮らすためには
私の両親は仲が悪くはありませんでしたが、趣味のない父が定年退職したとき母は鬱病になりそうだったと言います。
母はいろんな趣味で走り回るタイプですし、噛み合わなかったのでしょう。
ですがそのうちに父は食後の食器洗いなど、慣れない家事を自ら進んでしたり、お互いに協力して暮らしています。
夫が急に仕事を辞めてきたと母に伝えると、母は「ストレスで病気にならないように」と私に言いました。
私はこの結婚生活の中で早い段階で鬱状態を経験しています。
「2度とあんな思いはしない」と今ではたくさんの趣味を持ち、自分の精神状態を良好に保つことに徹しています。
朝から晩まで忙しく働き、帰宅後も夢中で家事をしなければ夕飯に間に合いませんから、何も考える時間も無いので良いのかもしれません。
今は子ども達がまだ家にいますから心に張りがありますが、居なくなった後のことは私には想像できません。
ためこみ症の夫と会話もない二人きりの生活。
そのとき私がどの様な選択をしていくのか全く予想できません。
夫がモノに執着し、テレビの前で落ち着きなく過ごしているのを見ることは辛いことですが、どうしようもありません。
夫にも何か生きがいの様なものが見つかればいいのですが。
離婚の可能性もゼロではありませんが、私がもしこの家から出てしまったら、きっと隣家になだれが起きるほどのモノを溜め込んでしまうと思います。
これから私たち夫婦はどうなっていくのか。
これは私たち夫婦に限らず、この年代になれば皆が一度は考えるテーマなのかもしれません。
今のところは健康な気持ちを保ちながら、しばらくはためこみ症の夫と暮らし、あとは自然の流れに任せようと考えています。


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