家族の中の困った人…「ためこみ症の夫」

「困った人」とひとくちに言っても、愛嬌があって思わずクスッと笑ってしまう人もいますし、他の人の人生にまで暗い影響を及ぼす、本当に「困った人」もいます。

その本当に「困った人」が家族にいたら…。他人であれば切り離すことができますが、家族であれば逃れようのない深い悩みを持つことになります。

ため込み症の夫が不要なものを大量にため込み、大変困っている我が家ですが、改善策もないまま２０年以上が経ってしまいました。

「誰か助けて！！」と叫びたい気持ちになることもありますが、家庭内の問題を警察に通報するわけにもいきません。

家の中の問題は警察に通報するわけにもいかない

最近ためこみ症という言葉を知って、ようやく夫は病気なのだと認識しましたが、直接効く特効薬などがありませんから厄介です。

ため込み症の夫が「大量の物で部屋が埋もれている」という事実に対して、一向に悩んでいないことが、問題解決の難しさに直結しています。

家族が悩んでいてもそれを理解しようとしませんし、自分が物を溜め込む病気だという自覚もありませんから、仮に特効薬があっても彼が飲んでくれるかはあやしいところです。

困っている人の本当に困るところは、周りを困惑させている自覚が全く無いことではないでしょうか。

誰かに相談すれば良いのでしょうが、親戚とは疎遠ですし、そのような役割を頼めそうな人は一人もいません。

これは家庭内の問題であり、「自分たちで何とかしなければ」と孤独な悩みを抱えてきました。

ため込み症の夫に対して泣いたり怒ったりしながら訴えてみたり、言葉で通じないのなら手紙を書いてみたり手段を変え、何年にもわたって家族の悩みを伝えようとしましたが何も変わりませんでした。

毎日我が家にやってくる夫の母親に相談したこともあるのですが、実は彼女もためこみ症で、私の悩みを全く理解してもらえませんでした。

悩み始めてから20年もの月日が過ぎて、夫がため込み症だと知った時、私は初めて「夫の行動が病気なら、どこかに相談したい」という衝動にかられました。

夫はかなり重症だと思われましたし、いくら頑張っても私の手には追えないと初めて感じたからです。

まず考えたのは、ネットでためこみ症の記事を書いていた大学病院の先生を訪ねて、私から相談してみることでした。

夫本人を病院に連れていくことは難しい、まずは私だけで相談に行こうか、と考えたのです。

けれどもそうしたところで、結局最後は本人を連れていかなければ必要な治療が受けられません。

先生に相談の手紙を書くことも考えましたが、これも同じで結局は本人の受診が必要です。

仮に私が飲み薬などを受け取れたとしても、それを飲まなければならないのは夫です。

物をため込むことについて話し合うことは難しく、プライドも高い夫を相手に精神科に行こうと説得できそうにありません。

何とか病院に連れて行けたとしても、「恥をかかせた」というような、的外れな捉え方をされる可能性が大きいのです。

どうしたら良いのか？と堂々巡りの日々が続きましたが、そのうち疲れて諦めてしまいました。

今はもう、夫を病院へ連れていくために説得するエネルギーが、私には残っていなかったのです。

今までもそうだったように、時間と労力を費やした結果何も変わらずに気力体力を消耗してしまいそうで、考えるだけでもうんざりしました。

もっと若ければまだ頑張れたかも知れませんが…。

解決する事が難しい悩みを抱える家庭の多くが、同じように誰かに相談することを諦めているのかもしれません。

閉鎖的になりがちで周りから気づかれにくく、長期化してしまうのが家庭内の悩みではないでしょうか。

本人に家族の気持ちを察する力があれば、話し合いを重ねて解決に繋げることもできるかもしれません。別々に住んだり、離婚して他人になってしまう方法もあるでしょう。

私の場合はすでに四半世紀に及び夫のことで悩んできたので、諦めの気持ちが大きくなり過ぎました。

本人との話し合いで解決することも、ため込み症の夫が精神科に受診することも、まず無いだろうと思います。

忍耐力を持って問題を解決するタイミングを待ち、自分や子どもたちの人生がその悩みのために暗いものにならないように、気持ちを強く持ちながら精一杯生きていくしかありません。

支えてくれる友人や周囲の人たちに感謝の気持ちを忘れすに、状況が変化することを静かに待っています。

そうですね、あとは

自分が誰かにとって困った人になってはいないか？と時々胸に手を当ててみなければいけませんね…..。こわいこわい、それが一番こわいですね。笑