私の新しい場所へ〜物だらけの家からの脱出
玄関前の床の上に寝転がって、私はしみじみと天井を見上げています。
正直に言えば、私は今お昼寝から目覚めたところなのです。笑
どうして玄関前の床で寝転がっているのかというと、ためこみ症の夫が溜めた大量のモノで我が家は埋まっているからなのです。
数年前までキッチンの椅子に座るしかありませんでしたが、6年ほど前に私は玄関横の納戸を自分のスペースにして主にそこで過ごしてきました。
暖房もクーラーもない場所なので、猛暑日はこうして玄関前でゴロンと横になり暑さをやり過ごしてきましたが…。
もうすぐそんな日々とはお別れです。
30年近くモノに埋もれて暮らしてきましたが、私は最近「この家を脱出する」という大きな決断をしました。

かつて私が絵を描くために購入した折り畳みテーブル
私の新しい場所へ

実際の8畳ほどの私の新居(準備中)
つい1年ほど前までは、「モノで埋まるこの家をいつか片付けて、ネコと一緒に暮らすのだ」という一心で毎日過ごしてきました。
夫がため込み症なのだという解決の難しい苦しみとは、自分なりにうまく付き合ってきましたし、この家を片付ける未来に何の疑問も持たずに生きてきました。
気持ちが変化しだしたのは、子ども達が自立し自分の人生について考えるようになったからだと思います。
このままここでたくさんのことを諦めながら暮らすのか?
物に埋もれながらも正気でいるために、現実逃避しながら生きていくことを続けるのか?
そんな問いかけを自分にしてきましたが、もはや私の中に夫への愛情が残っていないこと、同じく夫にも私を思いやる気持ちがひとかけらも無いことが、しみじみ辛くなってしまいました。
これは溜め込んだ大量のモノに埋もれている状況以上に、夫婦にとって重要な問題のように思えます。
まあお互いに愛情があれば家もこのような状態にならないでしょうけれど…。
大量のモノは見ないこと、意識外に置くことで私はうまく現実逃避してきたつもりでしたが、夫に対して心の中で毒づきながら自分を誤魔化し続けることで私という人間がほとほと嫌になってしまうことが増えてきました。
「早く夫が先立ち、片付けることができないだろうか」と毎日願うような気持ちでいる事が、もうイヤになったのです。
そんな心の声が大きくなり、私は現実逃避することをやめて素直に向き合うことにしました。
ずっと迷い続けてきましたが、勇気を振り絞って私の新しい住まいになる物件探しを始めたところ、早速気に入った物件を見つけたのです。
たまたまその日の朝にチェックした新着物件を不動産屋さんと一緒に見に行ったところ、気に入って即決。
初めの一歩はとても勇気が要りましたが、ネットの物件内見申し込みボタンを押した瞬間から、あれよあれよという間に一気にいろんな事が動き出しました。
迷った長い期間は何だったのかと思うくらいに、私の気落ちは一気に新しい場所に向かっています。
家を出ていく準備と、孤独感
7月の末頃に鍵の引き渡しが行われましたが、夫はまだ何も知らないのです。
仕事に出る度にバイクに荷物を積み、帰りに新居に降ろしてくる毎日ですが、夫は関心が無いので全く気づいていません。
どんどん私のモノが減っているのに、やはり関心がないのね…。
新しい住まいが整ったら別居なり離婚なり、どのように話が進むのかは分かりませんが、家を出ていく話を切り出すつもりです。
「今すぐ出ていけ!」と言われたら、「はいはい」と出ていける場所が、もうすでに用意してあるという段取りです。
それにしても住まいを作るっていろいろ大変ですね。一人暮らしをするのが初めての私にとっては驚きの体験です。
不安が9割、いえ、ほとんど不安しかない状態で決断するに至りましたが、いざ踏み出してみると今は「やるしかない」というポジティブな気持ちが8割ほどでしょうか。
残りの2割はやはり今後の自分の経済面や健康面に対する懸念、子ども達とどんな新しい形で関わっていこうか?という不安。
そしてたまに…「ひとり」になるのだという孤独感に突然襲われますが、強い気持ちで受け止めなければなりませんね。
心の通わない夫と暮らしていても…結局孤独を感じますし、いっそ一人きりになった方がマシなのかもしれません。
たとえ円満な相手と暮らしている方でも、「孤独感」って生きている以上誰もが感じる感情なのかもしれませんね。
ポジティブに前向きではあるものの時々突然に暗雲が立ち込めるように不安な気持ちになる事は正直あります。
家を出ていく、どこかのあなたへ
不動産屋さんの方といくつか物件を車で見て回った事が、印象に残ったので書いておきます。
物件巡りの車をよく見かけるが、まさか私がその車に乗るとは思わなかったと私が笑いながら話したところ、「実は先日あなたの一つ年上の女性のお客さんと物件巡りをしました。」とその方が言うのです。
興味を惹かれて聞いたところ、その女性はその前日の夜に家を探そうと思いつき決心したそうで、当日の物件巡りで早速新居を決められたそうなのです。
どうやらその方と、キッチンへの希望などが私と似通っていたらしい…。
だって料理好きの私は1人でもせっせとキッチンに立つはずですもの。きっとその女性も私と似た生活を頭に描いていたのでしょう。
その女性も決断に至る何かの悩みがあり葛藤があったことでしょう。
歳も近いその女性が新しい生活に踏み出したのだと思うと、おかしな話ですが何だか連帯感と言いますか、会ったこともない方に勝手に親近感を持ってしまいました。笑
そんなふうに、新しい生活に一歩踏み出した人が私も含めて今日もたくさんいるのでしょう。
生きていくのは色々大変ですが、不安な気持ちに負けずに頑張っていきましょう。
どこかのあなたへエールを送りながら「よし、私も前を向いて歩いていこう」と決心している今日この頃です。


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