ためこみ症

育った環境「ため込み症の夫」は孤独だった

ためこみ症の夫の集めたモノ。 ためこみ症

ためこみ症の夫が育った孤独な環境

育った環境が人に与える影響は誰にとっても何より大きなものだと思います。

重度のためこみ症である夫はどのような環境で育ってきたのでしょうか。

今となっては夫の幼少期のことを聞ける方もいないのですが、これまでに本人や今は亡き義母、親族から聞いた話から考えてみたいと思います。

モノであふれるこのテーブルで孤独に食事を摂る夫はどのような環境で育ったのか

モノであふれるこのテーブルで孤独に食事を摂る夫はどのような環境で育ったのか

初めて読んでくださる方はまずコチラの記事をどうぞ⇩

自覚のない寂しさ

夫には歳の離れた兄があり、祖父母も一緒に幼少期を過ごしたようです。

義母は夫を産んでから腰を痛めたのと同時にうつ病になり、夫が成人する頃まで毎日部屋で寝ていたそうです。

夫は母親から十分な世話を受けることができなかったらしく、幼い頃から自覚のない寂しさを感じていたのかもしれません。

そのうえ義兄と夫はどうも気が合わないらしく、家族同士で集まっても何か他人行儀だと私は感じ取っていました。

この義兄と義母もうまくいかない様子で、親族が集まる度にその人間関係を観察していましたが、どうやら全体的にギクシャクしている印象でした。

身近に感情のやりとりをしたり、愛情を感じ合う人の少ない幼少期を送ったのかもしれません。

ため込み症の義母は潔癖症でうつ病だった

義母は夫を産んでからずいぶん長い間うつ病で寝込み、父親は仕事に出て留守にしていたようで、夫は子供の頃からお金を渡されて自分で身の回りのことは何とかしていたようです。

「手作りの晩飯はめったに食べた事がない」と私が作るご飯を食べる子どもたちを見ながら、どこか羨ましげに夫が言っていたのを覚えています。

義母は我が強く、うつ病ではあるものの何かと口うるさかった様です。

夫が思春期を迎え恋人ができる頃には「あの人はダメ」などと色々立ち入ってきたそうで、夫もそれに従っていたらしいのです。

「この子は反抗期など無かった」と義母が夫のことを話していたこともあり、義母が夫の気持ちに気付いていなかったのではないかと私は思います。

自称潔癖症でしたが、義母の家は散らかっていてテーブルはものが積み上がっていましたから、綺麗好きと言うわけではなく他人が触れたモノが嫌だったのではないかと思います。

夫はいろいろと干渉はしてくるけれども食事も作ってもらえない母親に、一体どんな感情を持ちながら接していたのか?きっと複雑な心境だったのではないかと私は思います。

夫との結婚時にはすでに亡くなっていた彼の父親は、飾らない素朴な人だったと聞いています。

愛情を十分に感じられずに育った影響

家族と食卓を囲む事もなく、母親の手料理で大きくなったわけでもなく、愛情を感じる機会が少ない家庭で夫は育ったのだと思います。

それを察知した私は、夫にたくさん愛情を注げばためこみ症や感情のやりとりができない状況を変えられるのではないか?と最近まで頑張ってきました。

ですが何をどうしようと夫は何も変わりませんでした。

そもそも本人に自覚もなく悩みがありませんから、全く手応えがないのです。

家族の愛情を感じる機会も少ない中で育ってきたのですから、自分のため込んだモノのせいで妻や子どもたちがくつろげない状態になっていても、夫は何も感じないのかもしれません。

10代ですでにためこみは悪化していた?

夫が20代前半まで住んでいた実家の部屋を結婚当初に見たことがありますが、その部屋もモノであふれていました。

どうやら10代の頃にはすでに溜め込み行動は始まっていた様です。

それは子どもだった夫が無意識に寂しさを埋めるための行動だったのかもしれません。もしそこで誰かが夫に声をかけてくれたなら違った結果になったでしょうか?

夫のことが嫌いで仕方ないのですが、色々考えると哀れな気持ちになります。

ため込み症と孤独の関係

「ためこみ」の素質を持っていたとしても、症状がまだ進まない時期に誰かから愛情をもった関わりがあれば、ここまで重症化しなかったのではないか?

それとも愛情をたっぷりもらってのびのび育つ環境だったとしても、「ため込み」の素質が優先して同じ状態になったのか?

そんな疑問が湧いてきますが、答えはわかりません。

多くの「ゴミ屋敷」「汚部屋」といわれる家に住んでいる方は、孤独な環境の方が多いのかもしれないと私は勝手に推測しています。

育った環境はどの人にとっても、人生に深く関係することは間違いないと思います。

夫の育ってきた環境を思う時、孤独という文字が一番に浮かびます。

我が家に詰め込まれたこの不要なモノの山は、欲しかった愛情の代償ではないのかと。

そう考えると楽しそうにモノを買ってくる夫を見ると、可哀想な気持ちになってしまいます。

コメント

  1. yoyo より:

    昨夜こちらのサイトを知り、大変興味深く読んでいます。私も溜め込み癖のある夫を持ち随分悩んでおり、こうなった原因を知りたくて以前から夫を観察したりネットで調べたりしていました。
    幼少期の愛情の問題はすべてではなくとも大いに関係していると私も感じています。
    夫の母も溜め込み癖のある人で、やはり人の気持ちに寄り添う(知能が高いのでフリは出来る)事はなく甥や姪に接する姿を見ても情緒の交流がほぼありません。夫はこのように育てられたのだと思っています。
    夫は仕事はでき部下からも信頼を得られているようですが、とても無理をしているようにも見えます。全てが心ではなく「頭」を使うからです。仕事の面ではそれで良くても家族と子育てはそれで良い訳もなく、自分に感情がない事を「自分はサイコパスなのかな」等とこぼす時があります。
    私は夫は心があるが抑圧が深すぎて埋もれていると感じています。
    ガラクタの数は抑圧の強さと同義なのかもしれませんね。

    tikutakuさんが画像と共にご主人を冷静に、客観的に観察されたこのサイトは恐らくホーダーの家族を持って悩まれる方の支えになると思います。まだ全ての記事を読み終わってないのでこれからじっくり読ませて頂きます。
    日本はまだまだゴミ屋敷住人を面白おかしく取り上げて晒しあげるばかりで、その背景や病理についての理解は進んでいませんよね。そんな中このような正直で思慮深い記事は本当に助かります。その勇気と度胸と深い愛情に、心から感謝致します。
    私も夫と居られるうちは、お役目だと思って気分転換しながら頑張ります。

    • tikutaku tikutaku より:

      yoyoさん、はじめまして。
      コメントをいただきありがとうございます。読んでいるうちに同じ悩みを持つ方が他にも多くいらっしゃるのだと、しみじみ感じました。
      yoyoさんもきっと色々悩み今に至っていらっしゃるのでしょうね。私はかつて、うつ病のようになってしまった時期がありました。子育てが大変だった頃、そして何故片付かないのだろうと悩んだ頃です。何よりも辛かった事は夫と感情のやりとりがうまくいかない事でした。そばにいる人と気持ちを分かち合えないのはとても辛い事ですね。今は私も歳を重ね、自分の心が健康でいられるように工夫しながら暮らしています。謎の多い、そして誰にでも打ち明けられる類の悩みではないので大変ですがお互いなるべく楽しみながら過ごしましょうね。私も頑張ります。yoyoさん、私も勇気をいただきました。ありがとうございます。